クローンで増えるカンキツの識別技術の開発

ミカンを代表とするカンキツ類はなじみの深い果物であり、また、重要なビタミン源です。佐賀大学農学部ではカンキツおよびカンキツと近縁な植物を大規模に収集し保存しています。これは佐賀大学が世界に誇る研究活動です。我々は、この研究活動の一環としてカンキツの識別技術の開発を行いました。

カンキツ類に属する植物の多くはクローンの形で増殖します。また、カンキツ類には様々な品種がありますが、これら品種にはクローン増殖の過程でわずかにDNAが変化したものが数多く存在します。したがって、容易にカンキツを識別できる技術が存在しないことがこれまで問題でした。

近年、次世代シークエンサーという分析機器が注目を集めています。ヒトの全DNA配列を高速且つ安価に解読する機器です。同研究グループは、この最先端の機器をカンキツの研究に適用しました。

具体的には、クローンの形で増殖するライムを材料に、品種間の識別が可能かどうか検証しました。その結果、容易に品種間を識別する技術の開発に成功しました。

この技術は、これまで識別が困難であった様々なカンキツの品種に適用可能です。品種の取り違えは苗木業者や農家で問題になっています。また、正しい品種の使用は食品加工業者にとって重要です。本成果は、これら問題の解決に繋がります。

この成果は、平成25年4月30日(水)にNature出版グループの科学誌Scientific Reportsで公表しました。

論文タイトル:Characterization of limes (Citrus aurantifolia) grown in Bhutan and Indonesia using high-throughput sequencing
著 者 名 :Tshering Penjor, Takashi Mimura, Ryoji Matsumoto, Masashi Yamamoto, Yukio Nagano

なお、より詳細な解説はこちらをご覧下さい。

【問い合わせ先】
  佐賀大学総合分析実験センター 永野幸生
  電話番号 0952-28-8898  E-mail  nagano@cc.saga-u.ac.jp