第6回 生命工学フォーラム

下記の通り、生命工学フォーラムを開催しました。鈴木先生は、2005年4月に佐賀大学に移って来られました。これを機会に総合分析実験センターで講演をして頂きました。

日時: 5月9日(月) 16時〜
場所: 農学部地域支援室(農学部中棟三階)
演題: ホワイトクローバのTrEnodDR1 (WCCV1のコートタンパク質) 遺伝子を発現させたミヤコグサにおける根粒形成の抑制
講師: 佐賀大学農学部生物資産学科 助教授 鈴木章弘

講演要旨:
 マメ科植物に根粒菌を接種すると、根に共生窒素固定の場である根粒が形成される。マメ科植物の1つであるホワイトクローバの遺伝子として単離されたTrEnodDR1は、クローバ根粒菌を接種するとその転写物の蓄積量が減少する。最近、この遺伝子はクローバの生体内に潜んでいるWCCV1 (white clover cryptic virus 1) のコートタンパク質をコードすることが報告された。これは、根粒菌を接種することでWCCV1の増殖が抑えられることを示していると考えられる。そこで、マメ科のモデル植物であるミヤコグサを利用してこの遺伝子を強制的に発現させ、根粒着生を含む表現型にどのような影響が見られるか調査した。その結果、この遺伝子を発現させると植物ホルモンの1つであるアブシジン酸(ABA)の内生量が上昇することを見いだした。ミヤコグサではABA添加によって根粒着生が阻害されるので、この形質転換体における根粒着生を調べたところ、予想通り根粒数は劇的に減少していた。また、この抑制はABA合成阻害剤であるアバミン処理によってほぼ完全に回復した。次に、宿主の遺伝子の発現レベルでこの現象を理解するために約20,000のミヤコグサ遺伝子について発現解析をおこなった。その結果、予想されたABA合成系の遺伝子の他に、多くの防御応答関連遺伝子の発現が上昇していた。以上の結果から、WCCV1が宿主植物内に一定量存在(増殖?)していると根粒着生には負に作用するため、根粒菌感染時には、それを抑制することによって根粒着生を正に制御しているのではないかと考察した。

担当者: 総合分析実験センター 永野 幸生

「生命工学フォーラム」とは?
 教育研究支援施設である総合分析実験センターでは、分子生物学・細胞生物学・細胞工学などに関連したセミナーの開催を支援することにしました。会場の手配、全学の関係者への開催案内の配布、その他を行います。この活動による集会所のことを「生命工学フォーラム」と名付けることにしました。