第11回 総合分析実験センター講演会


総合分析実験センター講演会を下記のように開催した。

日時:2月27日(金)17時〜19時

場所:理工学部8号館5階507号室(国際環境科学セミナー室)

演題: RNAを介するマップキナーゼシグナルの新たな制御機構

講師:杉浦 麗子
      (神戸大学大学院医学系研究科・ゲノム科学講座・分子薬理・薬理ゲノム学分野・助教授)

講演要旨:
 MAPキナーゼ経路は高度に保存されたシグナル伝達経路であり,MAPキナーゼの異常な活性化は癌化などの病態を引き起こすため,MAPキナーゼシグナルを抑制するメカニズムの理解は極めて重要である。MAPキナーゼホスファターゼはMAPキナーゼを脱リン酸化し,不活性化することにより,MAPキナーゼシグナルの抑制因子として主要な役割を果たしている。
 我々は,現在までに免疫抑制薬の標的分子であるタンパク質脱リン酸化酵素カルシニューリンとMAPキナーゼ経路の拮抗的な関係を利用して,MAPキナーゼシグナル抑制因子の分子遺伝学的スクリーニングを行ってきた。このスクリーニングにより現在までにMAPキナーゼホスファターゼ(Sugiura et al., EMBO J. 1998)およびMAPキナーゼキナーゼ(Sugiura et al., Nature 1999)を同定してきた。
 今回,新規RNA結合タンパク質Rnc1を同定し,Rnc1がMAPキナーゼホスファターゼのmRNAと結合し,安定化することにより,MAPキナーゼシグナルを負に制御することを発見した。興味深いことに,このRNA結合タンパク質Rnc1は,MAPキナーゼによりリン酸化を受けることによりRNA結合活性が上昇する。すなわち,MAPキナーゼの活性化はRnc1のリン酸化,それに引き続くMAPキナーゼホスファターゼのmRNAの安定化に伴う発現の上昇を引き起こす。これらの結果はRNA結合タンパク質を介するMAPキナーゼシグナルの制御という新たなフィードバック制御機構の発見を意味する(Sugiura et al., Nature 2003)。

担当者:片山 諭

参加者:25名程度

講演会の模様: