第2回 生命工学フォーラム
(第14回 総合分析実験センター講演会)

下記の通り生命工学フォーラムを開催しました。この日、台風が佐賀を直撃しました。

日時: 8月30日(月)16時〜
場所: 理工学部8号館5階507号室(国際環境科学セミナー室)
演題: 光翻訳活性化機構の解明に向けた葉緑体リボソームのプロテオミクス
講師: 山口 健一 (長崎大学・水産学部・助教授)


講演要旨:
 葉緑体リボソームは、細菌リボソームと非常によく似た沈降係数(70S)、rRNAの塩基配列、および抗生物質感受性をもつ。一方、葉緑体リボソームと細菌リボソームの翻訳開始機構には顕著な違いがある。すなわち、葉緑体では光依存的に翻訳が活性化され、その翻訳開始にはmRNAの5’-非翻訳領域へのトランス因子(葉緑体固有の翻訳活性化因子)の結合が必須であることが知られている。また、多くの葉緑体mRNAの5’-非翻訳領域には、細菌の翻訳開始複合体形成に必要なシャイン・ダルガノ(SD)配列が見られない。葉緑体リボソームは、如何にしてSD配列をもたないmRNAの5’-非翻訳領域やmRNA・トランス因子複合体を認識して翻訳を開始するのだろうか?
 葉緑体の翻訳機構、特に光翻訳活性化機構を明らかにする目的で、ホウレンソウおよび単細胞緑藻クラミドモナス由来の葉緑体リボソームのプロテオーム解析を行った。結果、興味深いことに、葉緑体リボソームは、細菌リボソームのオルソログ蛋白質に加えて、葉緑体特異的リボソーム蛋白質(PSRP, Plastid-Specific Ribosomal Protein)や葉緑体特異的ドメイン(PSD, Plastid-Specific Domain)をもつことが明らかとなった(Yamaguchi & Subramanian, EJB 2003; Yamaguchi et al., JBC 2003)。つまり、葉緑体リボソームは蛋白質合成を司る細菌リボソーム様のコア構造に加えて、葉緑体固有の翻訳調節に関与すると考えられるPSRPとPSDをもつ。葉緑体リボソームの光依存的翻訳開始にPSRPとPSDが関与するモデル「PSRPモジュールモデル」を提唱したい。

Yamaguchi, K. & Subramanian, A.R. (2003) Eur. J. Biochem. 270, 190-205.
Yamaguchi, K. et al. (2003) J. Biol. Chem. 278, 33774-33785.

担当者: 総合分析実験センター 永野 幸生

「生命工学フォーラム」とは?
 教育研究支援施設である総合分析実験センターでは、分子生物学・細胞生物学・細胞工学などに関連したセミナーの開催を支援することにしました。会場の手配、全学の関係者への開催案内の配布、その他を行います。この活動による集会所のことを「生命工学フォーラム」と名付けることにしました。